久留和の小舞 | Shade and Sea

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石場建てと竹小舞の伝統木造

秋谷ヴィレッジの敷地内の高台に位置し、久留和海岸を眺め、涼を得る4畳半の小さな東屋である。木造伝統構法の貫構造、石場建てを用いて建設された。現在の法規制の中では石場建ては、平屋で建築面積50㎡以下、地耐力70kN以上でないと仕様規程に沿って建設できない。それ以外は限界耐力計算等の構造計算が必要で確認申請に莫大な時間がかかる。今回は10㎡未満の東屋のため石場建てが可能である。建物の4隅に割栗地業、礎石を据え、柱を立てた。足固めと貫を入れて固定し、母屋と架を載せ、竹小舞を麻縄で編み、丸竹のルーバーを架け、高さ700mmの位置に杉材のデッキを設けた。全ての材料がゴミにならない。小屋は石に載っているため、数名の大人で持ち上げることができるほど軽い。竹小舞がそのまま仕上げとなることで、竹籠で編まれたような細かな隙間が多数開いている多孔質の開放と閉鎖の独特な均衡状態ができた。竹小舞が陰をつくり、隙間から涼風が抜けていく。海とヴィレッジが一望でき、晴天時には江ノ島や富士山が見える。(能作文徳+常山未央)