野生のエディフィス

LIXIL出版 現代建築家コンセプトシリーズ No.29

若手建築家の建築思想から建築の方途を探る「現代建築家コンセプト・シリーズ」No.29は、地球環境や生態系に配慮した家づくりやまちづくり、太陽エネルギーを生かしたオフグリッドハウス、土壌の健全性を回復する建築やランドスケープ、生産から廃棄までの物質循環に配慮したエコロジカルデザイン、などのデザイン思考に取り組む建築家、能作文徳による初の単著です。
近年は、街並みを構成する建築のさまざまな素材に着目し、築40年の瓦屋根の家屋を解体して修繕、移築した《高岡のゲストハウス》(2013)や、都市のストックである中古住宅にあなを開け、生命がつくるレイアウトにあわせて手を入れ続けていく自邸兼事務所《西大井のあな 都市のワイルド・エコロジー》(2017)などが注目を集めています。これらの作品をはじめ、能作文徳は、土地やその歴史、素材や資源、住宅産業や社会制度、人々の生活のあり方など、より広範囲の設計与件を取り込みながら、新しい生態系としての建築の実現を志向しています。大きなスケールとこまやかな思考を16章に盛り込んだ、21世紀の建築が臨むべき体系を示す1冊です。